Neue Frutiger 1450

レジビリティのお話
Neue Frutiger 1450 の裏側
文:JPLinoletter 編集部

文字情報の表示方法も文字の組み合わせも多様化した現代。2012年4月に発表された新しい DIN(ドイツ工業規格)1450 では、それまでの規格をベースにしながらも、現代の使用環境にふさわしい内容が盛り込まれました。

少し前までは、普段の生活で目にする部分では、電話番号でも郵便番号でも住所の番地でも、数字はアルファベット文字部分とはスペースで隔てられていました。つまり、文字の部分と数字の部分との「棲み分け」がありました。そのため、かりに数字1とアルファベット大文字アイが似た形でも、それらが混ざることなく、前後の関係から判断して自然に違う文脈で読み取ることができていました。

しかし、現代は電子メールのアドレスやログインのさいのパスコードの複雑化などで、数字・大文字・小文字がスペース無しで混ざり合ったものを見ることが増えています。そのように数字や文字が入り乱れた塊になっている場合、前後の関係を手がかりに数字か文字かを判別することが難しくなります。DIN 1450 では、そうした場合でも数字1・大文字アイ・小文字エルの区別が瞬時にできるための工夫をすることはもちろん、数字ゼロと大文字オーについてもよりわかりやすくするための配慮がされていて、数字ゼロには真ん中の空いている部分に斜線か点を入れることを推奨しています。

2012年、その DIN 1450 に添う Neue Frutiger 1450 のアイデアを話し合うため、スイス・ベルン市のフルティガーさんを訪ねました。訪問の前にあらかじめ想定した改変案のサンプルをフルティガーさんに見せながら、どのバリエーションを採用するかをその場で決定しました。

その結果、点のついた数字ゼロ、セリフをつけた数字1、しっぽをつけた小文字エル、の3文字の新規制作が決まりました。もちろん、フォントとして発売する際に収める文字を考えるとそれだけではなく、数字にはそれぞれ二種類の上付き・下付き数字そして分数にも1とゼロがあり、小文字エルにはアクセント付きの文字があります。それらに加え、新しくフォント標準キャラクターセットに仲間入りした通貨単位のインド・ルピー、トルコ・リラの記号を付け加えました。

そして、ウェイトは Book、Regular、Medium、Bold の4種類です。DIN 1450 では書体のウェイトの推奨の太さについても使用目的別に細かな記述があり、この4ウェイトはそれに準ずるものを選びました。空港のサイン表示用書体として誕生し、いまは印刷物などでもすっかり定着した感のある Frutiger、2009年に Neue Frutiger として進化、そしてその新たなバリエーションとして Neue Frutiger 1450 ができました。進化の止まらない永遠の定番書体です。

*写真は Adrian Frutiger 氏に DIN 1450 の概要を説明する Monotype マーケティング・ディレクターの Otmar Hoefer。小林章撮影。

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